[アニメ感想] ゼーガペイン - ZEGAPAIN - 第11話 「残るまぼろし」
第11話 「残るまぼろし」

あらすじ
第11話のあらすじ、主要スタッフはアニメ公式サイトから引用しておきます。
脚本:関島 眞頼 絵コンテ:下田 正美 演出:雄谷 将仁 作画監督:大貫 健一(キャラ)、西井 正典(メカ)
偵察任務中、体調不良に苦しみ、初めて死への恐怖をクリスに告げるアーク。同じ頃キョウは、アークのウェットダメージが深刻で余命幾許もないことを知ってショックを受ける。
そんなキョウとシズノに、シマは「思い出作り」のために再び舞浜へ降りるクリス&アークと同行するように命じる。実はシズノとアークは親友なのだ。
ダブルデートのスナップ撮影をキョウから頼まれ、しぶしぶ引き受けるリョーコ。ところが、ダブルデートはリョーコの予想に反してシズノ&アーク、キョウ&クリスの組み合わせで展開。
途中、ペットショップで1匹の子犬を買い、ピエタと名付けるアーク。シズノ&アークは楽しげに語らい、見守るクリスも笑顔で、苦悩の片鱗も感じられない。そんな三人の姿に違和感を覚えたキョウが、クリスに自分の気持ちを告げると、「何かやってないと不安なのさ、俺もアークも…」その時、キョウ達四人に出撃命令が下る。
ストーリー&感想
ついに怒濤の展開がスタート!下田監督と原作の伊東氏がビジュアルファンブックの中で語っていましたが、11話以降は毎回が最終回1話前のテンションです。世界観、謎解きの観点から見た山場は第6話 「幻体」ですが、ゼーガペインの物語としての真髄は この第11話以降と言えます。ゼーガペインは序盤の掴みが弱いと言われることがありますが、序盤を丁寧に描いていたからこそ、この中盤以降の物語に厚みが出ているのだと思いますね。
Aパート

※キャプチャ画像はテレ東で放映された時のものです(以下同様)
▊ 幻体と復元者
一面のひまわり畑を訪れたクリスとアーク。まばゆい陽差しのもと、余命いくばくもないアークは、もう死んでるのに死ぬのは怖いと告白する。クリスはキョウの言葉を引き合いに出し、そんなアークを励ます。同じ頃、極寒の地にあるガルズオルムの施設では、アビスとシンが人体復元装置の中で眠っていた。先に目覚めたのはシンで、彼女はアビスのカプセルに近づくと、愛おしそうに頬を擦り寄せるのであった。
☞ サブタイトル表示前のシーンは、幻体と復元者の違いを暗示していそう。片やシステムの制約で、オリジナルしか存在することができない幻体。片や いくらでも複製可能な復元者。実に対照的な存在です。ただ、シンの振る舞いを見るに、復元者にも人間っぽい情緒的な感情は備わっているようですが。
▊ ただ一人の友達
水泳部の練習に参加していたキョウは、シズノからアークの余命が長くないことを知らされる。むごい事実を聞かされ、思わず顔をこわばらせるキョウ。しかし、シズノは感傷は程ほどにと言い、今後の戦闘で自分たちにかかる負担が大きくなることについて言及する。キョウはシズノの冷たい物言いに反発するが、シズノは「アークは私のただ一人の友達」とつぶやく。事務的な言葉とは裏腹に、心の中では悲痛な叫びをあげていたのだ。
☞ シズノのセリフの中に、ドライダメージとウエットダメージの解説がやっと登場。また、アークのCHIP損失率が1.748であり、キョウやシズノの数値とは桁違いであることも明かされていました。このことから推測するに、幻体を保持できるか否かは、小数点を超えるかどうかの攻防なのかも。
▊ アークからの伝言
クリスとアークを偵察任務に行かせたことで、オケアノス内は侃々諤々な状態になっていた。アークの体をおもんばかり、メイウー&メイイェンはシマに猛抗議したが、シマは「彼らは望んで此処へ来た」と突っぱねる。そして、ブリッジからの去り際に、アークからの言付けをキョウとシズノに伝えるのであった。

▊ CAFE舞浜
アークの伝言は 偵察任務を終えた後、舞浜に降りるので付き合って欲しいというものだった。キョウはアークたちの思い出作りを手伝うため、カミナギに写真撮影を依頼する。その際、アークたちのことは、シズノのフランス時代の友達という触れ込みにしておいた。当初カミナギは渋っていたが、キョウに押し切られ、カメラマンとして同行することに・・・。
カミナギを含めた5人は舞浜の公園などを散策し、まったり過ごしていたが、その途中で立ち寄ったペットショップでアークが子犬を購入。驚きを隠せないカミナギを前にして、アークは子犬を買うことが目的だったと打ち明ける。クリスも半ばあきれかえり気味であったが、その子犬にピエタという名前を付ける。それは、かつてクリスがアークにプロポーズした時のパブの名前らしい。
街を散策した後、一行は海を望めるCAFE舞浜で一休み。シズノとアークはオープンカフェで思い出話に花を咲かせ、キョウたちはカフェの店内から そんな二人の談笑を見つめていた。シズノのあんな嬉しそうな笑顔を見るのは初めてというカミナギ。来て良かったというクリス。しかし、和やかな雰囲気の中、ただ1人キョウだけが、心が晴れず険しい表情を見せる。
一方、オケアノスのブリッジでは、シマとレムレスがアークたちの休暇を遠巻きにモニターしていた。ここでレムレスがシマに向かい、アークたちに激務を与えた件を尋ねたところ、「忙しい方が余計なことを考えずに済む」という答えが返される。シマの命令はメイウーたちに冷徹な印象を与えていたが、実はいかにも彼らしい合理的な気配りだったのだ。
再びCAFE舞浜の店内。キョウは この和やかな雰囲気にやりきれない思いを抱き、どうしてアークの傍にいないのかとクリスに迫る。それに対しクリスは「俺もアークも人の心配をしている間は自分のことを考えないで済む」と、お互いに分かってやっていることを告げ、キョウはようやく二人の心情を汲み取るのであった。そしてこの日の思い出を形あるものにするため、最後に全員で記念撮影をしたが、その直後、キョウたちに招集命令が下る・・・。
☞ 「や、やっだもうキョウちゃんったら!」という、うわずったカミナギ棒子の演技が超可愛いっす。思わず10回近くも繰り返し再生してしまった。はっきり言って下手なんだけど不思議と味わいのある演技は、当時の香菜ちゃんならでは。今このシーンを録り直したら、たぶんこの趣は出せないでしょう。なんか嬉しくもあり寂しくもあります。
Bパート

▊ クリスの決断
オケアノスに戻ったキョウたちはゼーガペインに搭乗し、出撃準備に入る。本作戦の攻撃目標はヴァージェム。ルーシェンたちが偵察中に発見したガルズオルムの大型輸送艦だ。スキャンした結果、デフテラ領域を作り出す基幹マシン(メインコア)が分解輸送されているらしい。
そんな中、出撃を前にしたアークの転送拡散率に問題が発生する。実体化確率は89.63CCATしかなく、このまま転送した場合、幻体を保持できなくなるという。その後、アーク本人の精神力の賜物なのか、97.8という保持レベルぎりぎりの数値に回復するが、危険であることに変わりはない。メイイェンはアークの転送をやめるようシマに進言するが、シマはアーク本人の希望ということで彼女の出撃を許可する。
こうしてクリスとアークを乗せたフリスベルグは戦場へ転送されたが、やはりアークの体には酷であった。彼女の幻体データは多大なダメージを受け、その結果、意識障害が引き起こされてしまったのだ。もうこれ以上戦うことは無理だと考えたクリスは、フリスベルグのバニッシュメントモードを起動させる。自爆時のエネルギーを使い、ヴァージェムを道連れにして、アークと一緒に死ぬつもりらしい。キョウとシズノはクリスを必至に引き止めるが、彼の意志は変わらない。そうこうしているうちに、刻一刻と迫りつつある自爆の時間。するとここで突然、上空からアビスとシンのコブラルが出現する。アークの転送障害の原因を作ったアビスたちの登場に、クリスは復讐の炎を燃え上がらせ、特攻をかけるが・・・。
☞ シズノのセリフの中に復元者の説明がありましたが、ビジュアルファンブックにも解説が載っているので引用しておきます。セレブラント側から見た場合、後出しジャンケンみたいな存在ですな。
復元者 【用語】
現実世界と仮想世界を行き来できるガルズオルムの実験体。クローニングした肉体に幻体データを転送させているので、肉体が滅んでも、クローニングした肉体がある限り死ぬことはない。
(ゼーガペイン ビジュアルファンブックの「WORD OF ZEGAPAIN」から引用)

▊ アークの想い
自爆寸前のところで、バニッシュメントモードは停止される。停止ボタンを押したのはアークだった。「私の代わりに毎日ピエタにご飯をあげて・・・忘れたら許さない」――最後の力を振り絞り、クリスが生き続けることを願うアーク。その言葉を聞いたクリスは、やるせない気持ちを敵にぶつけ、ヴァージェムを撃破に成功する。しかし、アークには最期の時が迫っていた。
作戦終了後、クリスとアークは再びCAFE舞浜を訪れる。「カフェオレが飲みたい」――そんなアークの願いを叶えるためだが、彼女にはもうその余力はなく、アークの腕に抱かれながら消滅するのであった・・・。
☞ フリスベルグのモニターに逃走するシンのコブラルが映っていて、点滅する部分にZega Weaponsなる文字が浮かび上がってます。これはガルズオルム本部基地を発見するための発信器でした。第13話に登場する敵メカの伏線と勘違いしていましたので、修正させていただきます。ご指摘いただいたAroma様ありがとうございます。m(_ _)m

逃走するシンのコブラル
▊ 覚醒
その日の夜。キョウはアークの死をカミナギに伝える。カミナギはしばし呆然となった後、キョウの胸に飛び込み号泣。キョウは そんなカミナギを強く抱きしめるが、彼女の額にはセレブアイコンが点滅していた・・・。
☞ 第1話 「エンタングル」~第8話 「水の向こう側」あたりまでは、この世界とキョウの対峙に重きが置かれていたけど、それ以降は本作のテーマである「痛み」や「想い」というものが丁寧に描かれていますな。「消されるなこの想い 忘れるな我が痛み」というキャッチフレーズが、ここに来てますます心に響いてくる。(つд`)
☞ なお、テレ東で放送された時には尺の都合でEDは無く、クリスが海を見つめるシーンあたりからテロップが流れ始めていました。「アニメージュオリジナル」 vol.7のインタビュー記事で監督が語っていたとおり、BS11ではDVDバージョンのHD版がオンエアされているみたいです。
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関連サイト
■ ZEGAPAIN (アニメ公式サイト)■ ゼーガペイン Blu-ray BOX (バンダイビジュアル)
■ アニメ ゼーガペイン (BS11デジタル)
■ あにてれ ゼーガペイン (テレビ東京)
■ ゼーガペイン (Wikipedia)